先回ご紹介した自己主張の4つのパターン。
今回はそのうちもっとも適切な主張、「主張的な主張」について説明していきましょう!
スキル「主張的な主張」を獲得すると、先に述べた「非主張的な主張」「攻撃的な主張」「復讐的な主張」が減っていきます。
当たり前っちゃ当たり前なのですが、こういうコミュニケーションの”取り方”について意識し始めると、間違いなく自分のこれまでのコミュニケーションを振り返る頻度はあがりますし、頻度があがれば修正が効きやすくなります。
まずは己を知ることが、すべてのスタートになるのですね。
ポイントは5つです。
1.横の関係を意識すること
2.理性的であること
3.論理的であること
4.権利と責任を意識すること
5.依頼口調を使うこと
(参考/野田俊作/アドラー心理学を語る4/創元社2017)
縦の関係でのコミュニケーションは、攻撃的な主張になるか、復讐的な主張になるかのいずれかになりやすいものです。
軸が縦の関係なので、上の立場にたてば命令口調だったり、指示的だったりしますし、下の立場にたてば、要求を言葉にすることが難しいので恨み節になったり、自分を抑えて要求をのんだりしてしまいます。
そして、理性的、論理的であるというのは社会人にとっては大切なキーワードですが、思ったほどこれをうまくできるひとはいません。
感情的なコミュニケーションは時に人の心を動かしますが、一方で勝ち負けを意識しやすいコミュニケーションでもあります。主張がとおることを「勝ち」そうでないことを「負け」と勘違いしやすく、そうするとなんとかして「勝ちたい」と感じてしまうのが人情ですから、攻撃的、復讐的な主張になりやすいのです。
冷静で理性的な主張は、自分の都合だけでなく相手の都合もしっかりと理解しつつ、相談できる点で適切だと言えます。
もうひとつの論理的な主張というのは、もちろんわかりやすく、理に沿って話をすることですが、大事なのは「自分の都合にあわせた論理でないこと」です。
我々の自己主張は気を抜くと、自分都合の要因やデータについてのみ検討、主張してしまいがちです。
いくら因果を論理的に説明したとしても、そもそも自分だけの都合を基にしたものであれば、いくら論理的でも相手にとっては理解が難しいかもしれません。
たとえば、子どもが親に「みんな持ってるからゲーム買ってよ!」
と主張するとき、この因果は自己都合だけでできていると感じるでしょう。
あるいは「約束を破ったおまえが悪いんだ。」
と糾弾するとき、「約束を破ったひとは悪ひとだ」というわかりやすい因果関係だけを見て判断しているのですが、自分の都合だけを見ていないだろうかと言ったん立ち止まって考えることが必要かもしれません。
野田俊作/第2章上手な自己主張/
アドラー心理学を語る4勇気づけの方法/創元社.2022.3.10,p71
とりわけ大切だなと僕が感じているのは4つ目のポイントです。
4.権利と責任を意識すること
この重要性を理解していれば、自ずと他のポイントにも配慮が行き届くのではないだろうかと感じています。
次は権利と責任について考えてみたいと思います。
《#4へつづく》
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