セルフキャリアドックによるジリツ性の解放は，人材育成としての側面を持っています。
自分の言葉で，自分自身のイマココを語ることは，主体性とジリツ性を一気に解放する機会でもあります。 　
自分だけの物語は，自分だけが人生の主役であることを想起し，日頃忘れているチームの中ででも発揮すべき個性を思い出させてくれます。

在りたい姿のイメージと現在の自分が重なる瞬間に胸をときめかせることができれば，自ずと次のステージを目指して変化が始まるでしょう。

毎日の職務への意味付け，役割の再定義，そして働くことの意義を自分の言葉にします。
そうすることで，自分自身がどれほどチームや組織に貢献しているのかを改めて感じる内省時間を得ることできます。それは，日々の仕事汚れのデトックスと，仕事脳のリフレッシュにもつながる癒やしの時間でもあります。

自身を向上，洗練させて，組織や自分の幸福への貢献感を高めていくこと。定期的な健康診断としてのキャリアコンサルティングは，職業人としての自身の在り方をチェックする大切なひとときです。

上司との1on1を取り入れている企業が近年増加しています。面談での当期目標設定と達成率の確認は，個人のレベルアップとTEAMの能力を向上させるのに必要な枠組みです。

一方で，キャリアカウンセリングは第3者の視点による面談です。上司との1on1とは異なり，キャリアの専門家として個の自律的なキャリア形成を支援するものです。
第3者でなくては言葉にできないこともあるでしょう。
果たしてその言葉を口にしたとき，相談者の気持ちにどのような変化が起こるでしょうか。友人やお酒の席でこぼす愚痴とは違い，自分自身の大切な問題として建設的に向き合うのです。

これまでのキャリアは会社が与えてくれるものでした。従業員は自分のキャリアについて主体的に考える必要がなかったのです。しかし，終身雇用は崩れ，ひとつのコミュニティだけに身を置くひとは少しずつ減ってきています。マルチキャリアを築き，自身のキャリアアップを意識的に行い，市場価値を高めていかなければ，個が活き活きとできる健全な社会にはたどり着かないでしょう。