続き。
3回目です。
相性や技量の問題
しかし他方で,キャリアコンサルティングの成否は,当該キャリアコンサルタントとの相性やその者の技量によるところは大きいかもしれません。
コンサルタントの技量は受けてみないとわからないところはあります。
どのようなキャリアコンサルティングをしてくれるのか,どのような考え方をお持ちの方なのか,は説明文やウェブでの紹介文などを読んで事前にわかるとそういうアンマッチは避けられそうな気がするのですが,どうやら現状ではそうもいかないようです。
キャリアコンサルタントに相談したのだけれど,特に悩み解決ってわけでもなく,雑談して終わっちゃったとか,なんだかイロイロ根掘り葉掘り聞かれたんだけど,これ役に立ったのかな?とか感じることもあるでしょう。
役に立つコンサルを受けるためには
そんなふうにならないように,役に立ったなーと思えるコンサルティングを受けるためには,是非とも,①「目的」をしっかりともって,②相応のお金を払ってコンサルティングを受けることをオススメします。
僕は面談の始めに「これだけは今日持ち帰りたい,成果を得たいものはありますか?」とおたずねします。そのときに,これこれこういうこととスンナリと言えるのが「目的をもって望んだ」と言える状態なのですが,案外これはスマートにはいきません。
しっかりと目的意識を持つ前に,なんとなく相談したら解決してくれるのかしら?というカンジで面談にのぞむひとは少なくないので,なんとなく相談して,なんとなく雑談して,なんてことになりがちなようです。
事前に面談内容を記載してください。というフォームをつけて面談受付をしているコンサルタントもいますので,それにならってあらかじめ少なくとも大事なことをひとつ考えていって,面談の最初に伝えられるといいですね。
そしてもう一点の「お金をはらって」というのは,僕自身いろんな金額のキャリアコンサルティングを受けて思ったことです。
支払う金額に比例して,「何かを得て帰ろう」という意識は高まります。60分で0円,1000円,3000円,5000円,のコンサルを受けましたが,やはり5000円のコンサルティングと0円や1000円のコンサルティングでは,前者のほうが有意義だったと感じています。
これはもしかしたらちょっと失礼な話かもしれませんが,コンサルタントの技量というよりは僕のやる気というか,どのようなモチベーションでこれにのぞんだかに比例しているように思います。5000円払うんだから,得るものナシで終えるわけにはいかない!みたいな意気込みでしょうか。
1000円のコンサルも,しっかりと得るものは得ましたが,投げやり感(まぁゼロでもいっかーみたいな)はありました。
※もちろんコンサルの方は一生懸命に相談にのってくださいました。ありがとうございました!
そういう意味で,しっかりとお金をはらってコンサル受けるのが良いと思います。無料みたいなボランティアはそれこそ雑談になってもいいや感がでるのであんまりオススメしません。
スゴ腕キャリアコンサルタントのみなさんの名誉のために付け加えれば,1級キャリアコンサルタント技能検定を合格している方々のそれは本当にしっかりと受け止めてもらえる安心感があります。
僕は精神科医の先生や,人気心療内科医の診察を受けたこともありますが,これも好みがやっぱりあります。マッチングは大事だなーと思います。僕が受診した心療内科の先生はもうひたすらにお話を聴いてくれました。もうちょっとなんかこうどうしたらいいか教えて欲しいなーなんて思ったりするぐらいひたすらに聴いてもらえます。
ちなみに#1の
冒頭に書いたコラムにあった「実際に現場を経験していないから相談にのることができない」というのは少し乱暴な結論かなと考えています。
もしそれが本当なら金メダリストにしか金メダルをとるためのコーチができないことになりますし,難関大学出身でない学校の先生は,進学校での授業はできません。転職相談などもたとえば同じ分野の会社は無数に存在しますから,そのすべての勤務経験がないと転職相談もできないことになります。
というか,誰もやったことがないことについては誰も相談を受けることはできないことになってしまうじゃないですか!
そもそも経験というのはそのひと固有のものであり,あらゆる経験はオリジナルであるとも言えます。
だからこそ僕らは同じ環境で育った兄弟も,その膨大な変数から様々で固有な影響を受けて今の自分をつくりあげ,結果として全然別の人格が形成されているのです。
こんなのを,かの3大心理学巨頭のアレフレド・アドラーは「自己決定性」と呼びました。遺伝や環境などの因子はひとの成長に影響を与えるが,しかしそれらは決定的な要素ではなく,自分を決めるのはあくまでも自分なのです。
労働関係法規的な視点
そしてもうひとつキャリアコンサルタントの強みをあげるとすれば,社会保険労務士さんと比較すると専門職としては見劣りするところはあるかもしれませんが,人事労務として労基法をはじめとした関連法規への理解はあげられるかもしれません。
もとよりキャリアコンサルタントの資格を得る方々は人事労務畑の方が多く,その分野をそのまま職務として経験している強みがあります。
もちろんそうでないひともいます(僕も違います)が,キャリアコンサルタントは学科試験としてキャリア心理学だけでなく,労働関係法規の知識も問われますので必要な知識は備えています。
ちなみに僕はハラスメント研修なんかもやります。
パワハラ防止法施行後は,キャリアコンサルタントによるハラスメント研修は,ニーズも増えているという話も耳にしますし。
子ども向けにキャリア教育なんかもします。うちは学習塾なので,時々子どもたちにキャリアってなんだろうねみたいな話をしながら,自己理解や職業理解をすすめます。
子ども向けキャリア教育も承りますので,ご相談くださいませ。
まとめ
最後にもう一度
定期的な健康診断としてのキャリアコンサルティングは,すべての社会人に大切な時間になると思います。
できれば各企業は,これを制度として導入して欲しいと思います。
一ヶ月に一度,目標達成の進捗を確認しつつ,PDCAを廻すコンサルティングはきっと有用でしょう。
定期的なキャリア・カウンセリングやキャリア研修など総合的に従業員の主体的なキャリア形成を促す仕組みを「セルフ・キャリアドック」と呼びます。
このセルフ・キャリアドックの導入が少しずつ浸透しつつありますが,まだまだ一般的ではありません。
セルフ・キャリアドックの効果としては
1)リテンション機能(人材維持,保持,引き留め)
2)関係調整・対話促進機能
3)意味付与・価値提供機能
であるとされています。
※労働政策研究・研修機構(2015)「企業内キャリア・コンサルティングとその日本的特質 -自由記述調査およびインタビュー調査結果より
個人を元気に,企業を活性化するためのセルフ・キャリアドック。
導入にあたりましては,ぜひとも我が社の支援をお求めくださいませ。
キャリアコンサルタントも分野によって得手不得手があります。
キャリア教育やキャリア研修を得意にしている方もいらっしゃいますので,学校法人さんなどにも利用していただけると思います。
それから,キャリアコンサルティングって怪しいと思っているみなさん。
自分のことって普段あんまり考えないと思うので,たまに健康診断としてのキャリアコンサルティングを受けてみてください。全然怪しくないですよ!
適切なタイミングで,適切な支援を受ける。
健全な職業生活をみなさんにおくってもらうために,我々キャリアコンサルタントは日々勉強してます。