仕事に関する悩みを抱えているひとたちへ#2

仕事に関する悩みを抱えているひとたちへ#2

前回↓の続き。

キャリアコンサルティングの中で問題や課題を見つけたとして,その後,それをいかにして改善をはかっていくかというところは,僕の場合は基本クライエントさん自身に委ねます。

本人がNOという気持ちのうちは,いかに正しい方法だとしても紹介はしても,やりなさいと指示することはないし,なんとかうまいこと言って真面目にトレーニングと向かい合う方向へ誘導することもほとんどありません(クライエントさんが本心ではがんばりたいなーと思っていて背中をおして欲しいと言えば背中は押します。)

なので,課題は認めていても向かう勇気が持てないひとには,ゆったり相談になります。

世の中は,どうやらがんばってるひとにがんばれって言っちゃいけない雰囲気ありますが,こういう極端な話を一般化するのにはあんまり賛成できません。
がんばれという言葉には応援のメッセージがありますし,応援の気持ちは第3者にしか持てない想いでもあります。そのあたりを含めてキャリアコンサルティングには,あれダメこれダメではなくて,身軽さと柔軟さと結論を留保できる能力は求められると思います。

まぁ僕のスタンスはさておき,キャリアコンサルティングにもセオリーはあります。試験はこれにそって行われます。

僕の場合は,コーチングを10年やってますし,大学で学生支援を24年もやっていたので単純に面談した学生さんや部下や同僚との面談,大小あわせれば3,000人は超えててそれなりにカタチはできちゃってますから,セオリーに完全にそっているということはないです(だから試験は苦労しました)。
セオリー無視というよりは発展型!と思っています…。勝手に。

守破離で言えば「破」?
#知らんがな

システマティック・アプローチ

一応セオリーとしてのキャリコンサルティングに触れておくと,一般にキャリアコンサルティングとして学ぶ課程には古くからの手法としてシステマティック・アプローチがあります。

概要だけ言いますと,キャリアコンサルタントと依頼者との間に信頼関係を築き,そのうえで共同でコンサルの目標を定め,目標達成までの道のりをフォローしていくというもので,多くの場合これに照らして進行されると思います。

システマティック・アプローチはおおよそ次のようなプロセスをとります。

1)カウンセリングの開始
 カウンセラーとクライエントの関係性の樹立

2)問題の把握
 来談の主訴の共有,把握。齟齬がないか確認する。

3)目標の設定
 問題について吟味し,解決後の状態(ゴール)を設定します。具体的な方策や一連の行動についても検討し,合意をもって契約します。

4)方策の実行
 方策を実行します。

5)結果の評価
 実行結果のアセスメントを行います。効果測定の後,その成否を基にしてさらにカウンセリングをすすめます。ゴールに達成することができればカウンセリングの終了を検討します。

6)カウンセリングの終了
 クライエントに終了を宣言し,合意をとります。
 成果があらわれているか,継続して成果をあげるプロセスを理解できているかを相互に確認します。

細部は異なりますし,向かい合い方もいろんな方法がありますが,僕のキャリアコンサルティングでも大枠では同じルートをたどります。

僕はどうしてもコーチング色が強くまってしまうので,改善策を検討するにあたってもその主体はどうしてもクライエントになります。場合によっては「どうしたらいいですかねぇ?」なんて問いかけられても助言を避けることがありますしね。

手順はシステマティック・アプローチに共通するところはあります。問題解決に向けて,幅広い視野を展開するために視点を何度も変えて同じ事を話ししたり,いっしょにインターネットで情報収集したり,キャリアインサイト(職業への興味や職業適性を診断するアプリ)を使ったり,OHBYカード(職業興味とか職業理解を促すカード)を使ってみたり,自分の意外な価値観を探す遊びをしてみたり,できるだけたくさんの視点を見つけて改善案をふたりの合意の下で作成します。さらに具体にどのようなトレーニングをしていくか,どんなペースで続けていくか,を相談して,いざ実践となります。

次回の面談時に振り返りをしてもらい,少しずつ望むカタチに近づけていくという案配です。

ひとによってはまったくこんなプロセスを経ることなく,ひとりで勝手に解決していくひともいますし,本当に千差万別なんですね。

なので,本質的にはキャリアコンサルタントはみなさんを助けるわけでもないし,助けることなんてできないのだと思っています。

そう,「ひとはひとりで勝手に助かるだけ。」ですから
それを手伝うことだけが
僕のキャリアコンサルティングに唯一できることなのです。

#西尾維新 「化物語」

さて今回の本題。

キャリアコンサルティングが有効に働く理由

我々キャリアコンサルタントがキャリアに悩むクライエントにとって,有効な面談を行うことができると考える理由は大きく次の3つです。

  1. 第3者視点であること
  2. 専門的な視点で意図的に関わること
  3. 多様なキャリアの相談を受けているという経験

そして,これが「キャリアコンサルタントが怪しくない理由」「お友だちに相談するのとはちょっと違うワケ」「やったことないのに相談になんかのれるわけない,なんてことはない理由」になると思います。

ついでに僕がキャリアコンサルティングをする際に気をつけている,重視していることでもあります。

ひとつずつ説明します。

第3者視点であること

キャリアコンサルタントは相談者に共感し,肯定的に受容を示しますが,一方で第3者の視点として俯瞰して眺めてもいます。

相談者の考えを非難することもなければ,否定することもありませんし,反対に相談者に同情したり,同調したり,賛同したりすることもありません。

そのときの相談者の感情を大切に扱うとともに,相談者さえも気が付いていなかった感情の根源にも想いを巡らせます。

やさしくしてくれるから,なんか心地よくって不安もなくなってきて,もう他の人になんか相談できない~なんてことにもならないと思います。僕らは相談者の弱みにつけ込んで洗脳して壺を買わせることを生業としているわけではありませんし,キャリアコンサルタントにそんなチカラはありません。キャリアコンサルティングは魔法でも呪術でもないのです。

日本人はとりわけカウンセリングに対して抵抗があるようです。
誰かのチカラを借りて,自分自身の問題を解決するということが,もしかしたら日本人の美意識に触れるのかも!

我慢することの美徳の非合理性については,議論するまでもありません。自分で自問自答してもぐるぐる堂々巡りするだけですから(実にひとの脳は日に6万回以上の自問自答を繰り返し,そのうちの9割は解決することなく回り続けるそうです),一刻もはやく専門家のチカラを借りて問題解決への道を探すほうが合理的です。

欧米のビジネスパーソンやトップアスリートたちが,コーチを味方につけているのは,特別な「3日でわかる○×講座」を受けたいわけでも,「7日間でマスターできる!スーパー指導」を受けたいわけでもなく,自分の考えや想いをコーチとの対話の中で言語化し,それを再認識・再確認することで,頭を整理したり,抜け漏れダブりをチェックしたり,新たな視点からの素朴な質問や疑義によるアイディアや見えていなかったところにアプローチする,そういった第3の眼としてのコーチを味方にしているのです。

欧米のビジネスパーソンやトップアスリートたちが,コーチを味方につけているのは,特別な「3日でわかる○×講座」を受けたいわけでも,「7日間でマスターできる!スーパー指導」を受けたいわけでもなく,自分の考えや想いをコーチとの対話の中で言語化し,それを再認識・再確認することで,頭を整理したり,抜け漏れダブりをチェックしたり,新たな視点からの素朴な質問や疑義によるアイディアや見えていなかったところにアプローチする,そういった第3の眼としてのコーチを味方にしているのです。

欧米のビジネスパーソンやトップアスリートたちが,コーチを味方につけているのは,特別な「3日でわかる○×講座」を受けたいわけでも,「7日間でマスターできる!スーパー指導」を受けたいわけでもなく,自分の考えや想いをコーチとの対話の中で言語化し,それを再認識・再確認することで,頭を整理したり,抜け漏れダブりをチェックしたり,新たな視点からの素朴な質問や疑義によるアイディアや見えていなかったところにアプローチする,そういった第3の眼としてのコーチを味方にしているのです。

欧米のビジネスパーソンやトップアスリートたちが,コーチを味方につけているのは,特別な「3日でわかる○×講座」を受けたいわけでも,「7日間でマスターできる!スーパー指導」を受けたいわけでもなく,自分の考えや想いをコーチとの対話の中で言語化し,それを再認識・再確認することで,頭を整理したり,抜け漏れダブりをチェックしたり,新たな視点からの素朴な質問や疑義によるアイディアや見えていなかったところにアプローチする,そういった第3の眼としてのコーチを味方にしているのです。

愚直にひとりで悩んで,ひとりで解決することをヨシとする日本風美徳ではこの感覚が受け入れがたいのかもしれないですね。

専門的な視点で意図的に関わること

そしてあたりまえですが専門的な視点です。
そのためのトレーニングを受けているのですから,友だちに相談するのとはそれはちょっと違う対話になります。

※しかしどの分野にも,天性でそのトレーニングなしで同じ事ができてしまう「天然」はいます。「天然コーチ」「天然キャリコン」も数少ないですが,確実に各地に生息しているのです。やたら聞き上手なひといますよね,そういうひとたちはセンスありです。

意図的な関わりというのが,プロフェッショナルとしての技能を指しています。

相談者の主訴というのは,たいていの場合,その裏に隠れている本当の問題(アドラーの「対人関係論」では,その問題に対応する「誰か」が裏に潜んでいます)を隠し持っていて,表面化している主訴に登場する部分だけを解消しても,問題全体は解決しません

問題の設定にあたり,僕はこの真因を探したいと思っています。

一方で,これを即座に行えば相談者との関係性は秒で破綻しますから,そこは慎重に信頼関係の形成に重点をおきます。

何事も,「何を言われたか」ではなく「誰に言われたか」は腹落ちさせるのに極めて重要なファクターなので,「オマエに言われたくねぇわ」になってしまったらキャリアコンサルティングは決して成功することはありません。

したがい,キャリアコンサルタントとしては常に相談者の味方であり,彼らが自分のチカラで助かることを100%信じているというマインドセットが基盤となっていることは言うまでもありません。

そして,問題の深奥にある「本当の問題」は何かなー,もしかしてこういうことかなーという仮説を持ちつつ,たとえば相談者の言葉や考え方の矛盾を勇気を持って指摘したりすることはあります(「対決技法」#マイクロカウンセリング技法 / Ivey, A. E)。

あ。もちろん
「いや,そこ完全矛盾してますよあなた。」とは言いませんよ。
言いません。

僕はこういうのは基本的に自分がどう感じているか?という観点でしか捉えていなくて,またそういう捉え方が身についてしまっているので,自動的に「こんなふうに僕は今感じました」というような伝え方になります。

とりわけ「考えた」のか「感じた」のか,あるいは「思った」のか,と「時制」には気を遣います。今気が付いたのか,さっきから思っているのか,最初気になったのかは,伝え方次第で「相談者を斬りつけること」になりかねないからです。

言葉のチョイスや,仮説の立て方,確認の仕方,対決の仕方,そういうテクニカルな意味でも意図的,かつ専門的な関わりをキャリアコンサルタントもしています。

多様なキャリアの相談を受けているという経験

多様なキャリア相談を受けているという経験は,実践こそしていないものの,たくさんのケースを抽斗としてもっているという点で,キャリアコンサルタントに相談することは有用に違いありません。

人生経験が長い人に相談するのと同じ理屈ですかね。

逆にその経験がひとりの人間の場合は偏ったり,思想を固めてしまったり,無駄に意固地に頑固になってしまったりもするのですが,キャリアコンサルタントの場合は職業相談としていろんなケースを受けているだけですので,参考図書にこそなれ,悪書にはならないでしょう。

別の相談者から聞いたレアケースを,今目の前にいる相談者に当てはめて,あなたもこうしなさいよ,なんて絶対言いませんし,それが正解であなたは間違いなんてことも絶対言いません。

ただしキャリアコンサルタントさんによって,得意,不得意な分野はあります。多く受けている業種や職種の別はあるかもしれません。職務として長く携わった分野はあたりまえに知識も豊富ですし,興味ももっています。

僕は大学職員として長く働いたので,大学職員や学生生活,進路指導,就活あたりはキャリアコンサルタントになる以前から仕事として関わってきていますし,今はコーチング学習塾を経営しているので,開業経験や学習塾として子どもたちと接している経験を経て,これらのコンサルもできるようになっています。

縁あって,航空自衛隊のシステムカウンセリングにも参加させていただいているので,任期満了前の若い空自隊員さんたちのカウンセリングもしていますから,数をこなしているうちに自衛隊の仕組みも勝手に頭に入って来ちゃうわけです。

なので,キャリア相談ということでいえば
普通に人生を送るひとたちよりも,いろんなケース,中にはたくさんのレアケースも含まれており,いろんな参考資料を基に話を聴くことができるという点で,視野は広く,視点は複数あり,そのたくさんのポイントを享受できるのではないかなと思います。

といったところで
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#3へ続く