部下や後輩指導に向いていないなー。
と思いながらも,でも部下や後輩のために何かしてあげたいと思う人が,たとえばコーチングだったりメンタリングだったりといった技術を会得しようと考えるわけですが,それはもうただそれだけで,十分に素養があると考えてよいと思います。
本当に向いてないひとは,そもそもそういうこと考えないので,「俺がやった方が早い病」を患ってしまったり,「俺が最強病」になったまま二度と完治しなくなってしまったりするのです。
しかし,ここに問題を感じて,なんとかしたいと思う人は,自分と向き合うことができますから,これから考えて欲しいことにも十分対応できると思います。
さて,ご自身の立ち位置について振り返っていただいたところですが,どのようにお感じになったでしょうか。
自分が求められている役割というのは,今の自分を成長させるにふさわしい役割であればあるほど自分の効果性を増すことができます。もしもそうでない役割であれば,部下や後輩を上手に指導したいという想いとアンマッチになってしまうので,もういちど自分の役割の中にそういったことがしっかりと含まれていることを確かめてください。
いま,部下や後輩のことを想うタイミングであれば,必ずそういった役割がどこかに含まれていると思います。
その立ち位置こそが,訓練をより強度の高いものに引き上げてくれるはずです。
指導をやめる
それではまず最初に,指導することをやめてみましょう。
簡単なので,すぐにでも試してみて下さい。
指導することを止めると心に誓ったらそれでOKです。
指導することをやめるというと,ちょっとアレですが,いっしょに成長を考えるとか,いっしょに成長していくとか,あるいは見守るとか,そういうスタンスに変えてみましょうという意味です。
技術指導とか,知識の指導とか,そういうことはちょっと脇に置いておいて,スタンスとして指導する立場ではないというスタンスをとってみましょうというわけです。
それぐらいならできそうですか?
これはまぁ単なる言葉遊びみたいなものに見えて,実は結構大事なことです。上司と部下や,先輩と後輩の関係は,人間関係のひとつであることに違いはありませんから,これには感情がものすごく関係することはおわかりだと思います。
同じ事を伝えても,しっかり聞いてもらえるひとと,そうでないひとがいます。関係性によるのです。
これはすなわち,縦の関係をやめて横の関係を築くということです。
このマインドセットこそ最重要だということを胸に刻んで欲しいと思います。ひととして対等であることから始めなくては,他者の成長に関わることはできません。
成長して欲しいひとが自分のチカラで成長できることを信じること,このマインドセットは本当に大切です。このマインドセットがすんなりと飲み込めるまで,しばらく横の関係性を意識しながら接してみましょう。
対等の関係であることと,役割は異なりますので注意してください。
上司と部下は,ひととして対等であると同時に,それぞれの役割は異なりますから,同じような考え方で,同じような行動をするわけにはいきません。重要なのは横の関係であること。自分と対等であることを念頭において,接してみて下さい。
《横の関係が意識できはじめたらつづく》