セルフコーチングが人間関係にも効果的な理由/7つの習慣セルフコーチング

セルフコーチングというのは,要するに自己管理,セルフマネジメントのためのスキルなのですが,しかし結果として対人関係やストレスケアにつながったりする不思議なスキルです。

それはなぜかという話を今回はちょっとしたいと思います。

セルフコーチングはセルフマネジメントのスキル

セルフコーチングは,端的に言えば「自分の中にコーチを持ち,コーチとの対話から新たな気付きや普段自分が意識していない事柄へ思考を深めていくことで,より良い選択,より創造的な選択ができるようになるスキル」です。

何気ない言動,無意識にオートマチックに選んでしまっている行動,つい感情的になってしまった末の言動を「意識下にひっぱりだす」ことで,選択する行動を変え,習慣を変え,自分を変えていく「変容のためのエンジン」とも言えます。

「7つの習慣」の著者であるコヴィー先生はこんなことを言っています。

小さい変化を目指すなら,行動を変えればよい。
しかし,飛躍的な変化を目指すなら,パラダイムを変えねばならない

スティーブン・R・コヴィー


パラダイムとは物事の見方や捉え方のことを言います。
つまり,その場限りの変化や短期的な効果を望むのなら行動を変えればあるいはうまくいくこともあるでしょう。しかし,もしもみなさんが飛躍的な変化を遂げたいと願うのなら,物事の見方を変える必要があるということです。

物事の見え方を変えようと思えば,まずは自分のパラダイムに気が付かなくてはなりません。

コーチングの効果は,これまで見えていなかった側面,あるいは意図的に見ようとしてこなかったパラダイムにスポットをあてることで,物事の捉え方を柔軟に変え,ひいては理解を促し,自分事として「なるほど」と腹落ちしたときにこそはじめて得られるものです。

セルフコーチングを用いることで,自分自身をしっかりとマネジメントしていく。それがセルフコーチングの本質です。

自覚する

さて,このようなプロセスについて「7つの習慣」では,ひとという種だけが持つ特別な能力として4つの能力を紹介していますが,4つのうち「自覚」の能力を用いてはじめて可能になるものだと僕は考えています。

またこの「自覚」するプロセスについて僕が考える特徴を以下に示します。

・自身のパラダイム,あるいは反応的になっている自身を「自覚する能力は」,普段からこれを意識することで伸ばすことができる。
・物事の捉え方,見方は,ある側面に着目しているとき,他のある側面について着目することはできない。
・複数のポイントを同時に見るためには,ひとつの事柄に執着することなく,遠くから客観的にそれを眺める必要がある。
・自分自身で異なる視点についてしっかりと腹落ちさせなくてはならない。
・他人に言われたところで,気付くことはできても,本当の意味での「自覚」にはならない(≒気付いたとしても,それを自分ゴトとして捉えることができない)。

「自覚」すること自体は,セルフコーチングを学ばずとも,みなさんの人生において何度も遭遇したことがあると思います。

目からうろこが落ちたこと,一度や二度ではないのではないでしょうか。

しかしそういった新たな気付き,衝撃的な気付きを,意識して起こすことができるとするならどうでしょう。

この起点となるのが「自覚」です。

自覚を促し,自覚を起こす頻度をあげるスキル,これがセルフコーチングであるとも言えます。セルフコーチングで自分の中のコーチと対話を重ねることが日常になれば,自覚するタイミングはこれまでと比べものにならないほど増えます。

僕自身,セルフコーチングをしっかりと学んでからというもの「自覚」することがものすごく増えたという実感があります。
コーチングの基本技術をすでに体得している方にとっては,この効果は絶大なものになると思います。なぜかというと,そもそも根底にあるコーチングスキルがそのまま利用できるからです。コーチングの技術をそのまま用いることで,セルフコーチングのバリエーションは豊かになりますし,コーチングセンスは一両日には身につかないという点でも,セルフコーチングをマスターするための時間が節約できて良いと思います。

また,それ以上に思うのは,コーチの問いと自身の答えが,自分の頭の中でものすごい速度で往復するのを体感できると思います。コーチとしての自分とクライエントとしての自分の対話が新しい自分を連れてくるなんて,とてもワクワクしませんか!?

《つづく》