他者評価を大切にするということは,他者の書いた脚本を生きる人生みたいなものだと,書籍『7つの習慣Ⓡ』(スティーブン・R・コヴィー/FCEパブリッシング/キングベアー出版)は言っています。
しかし,そんなことはわかっていても,どうしたら良いのかわからないひとは思いのほかたくさんいるのでしょう。
僕がこのことに気が付いたのは36歳の時でした。
初めて部下を持ったときに,最初は自分の考え方やノウハウを部下たちに伝えていけば自動的に生産性があがると思っていました。
ところがそれをやろうとすると生産性はあがるどころか,どんどん反発や軋轢が大きくなっていって思うとおりにはチームメイクができません。
しかし,不平不満がたまってチームが壊れることを恐れて,理念や目的でなく,チームをうまくまとめることに焦点をあててしまえば,欺瞞だらけの表面的にうまくやっているチームはできますが,決して生産性はあがりません。
そうして気が付くと僕は,部下達におもねり,ぬるま湯のような生産性の低いチームをつくっていました。
そうです。
部下たちに「嫌われること」を怖がっていたのです。
誰かに嫌われることを怖がって,本来成すべきコトを成さない。
誰かに嫌われないように,そのひとが好きそうなことをする。
言うべきことを言わず,目指すべき目標を忘れ,その場しのぎばかりに注力する。
こんなことをしていて,良いチームができるはずもありませんし,信念をもった成りたい上司になれるわけがないのです。
今でこそ,そりゃそうだ。
と思うことができますが,当時は本当に苦しみました。
そんなことに気が付いたとしても,だから「嫌われてもいい」とはならないのです。
そこには確固たる目的と,目的に向かって進む覚悟がないからです。
結果として,僕は僕を苦しめることになります。
毎日仕事へ行くのが辛かったし,苦しかったし,湯船に浸かっていい歳したオッサンが涙を流していたのですから,それはちょっと恥ずかしいを通り越して,大丈夫かオマエレベルでした。
しかしある時,僕はこれを修正しようと覚悟を決めます。
これでは時間の無駄だと思ったからです。
つまるところ,悩んでいても状態が変わることはありませんし,すでに問題が山積している今よりも悪くなることはないだろう,なったとしてもまぁいいかな,もうこんなだし。みたいな開き直りの境地でもありました。
それでどうしたかというと
1.行動を変えること。
2.信念に従った行動選択をすること。
3.語尾までハッキリと話をすること。
4.信念に従っているのなら,正解か不正解かは不問いとして自信をもったふりをして断言すること。
5.わからないことはわからない(からなんだ,文句あんのか)と,ハッキリ言うこと。
6.間違えたとき,失敗したときは,照れたり,ごまかしたりせずに本気で謝ること。
7.感謝をすること。
を,まずは徹底的にやりました。
これはもう自分との戦いです。自分との約束なのですから,いつ破っても誰に叱られるでもありませんが,だからこそ守るのです。
嫌われるかどうかなんて関係ありません。
どうせ,僕が何をしても,あるいは何をしなくとも,僕を嫌うひとは山ほどいます。
それは僕の責任ではなくて,そのひとの責任において嫌えばよいのです。
行動の指針はたったひとつです。
自分がそれを許すか許さないか。
自分の信念や価値観に従った行動かどうかです。
この中には,もちろん正解も不正解もあるでしょう。
ソレやっちゃダメなヤツも含まれていることでしょう。
それでもいいとそのときの僕は決めました。
決めたのだから貫く,ただそれだけでした。
そうすると段々その覚悟が見えたのかそうでないのか。
果たしてどのようなメカニズムでそうなったのかは正直よくわかりませんけれど,段々と部下や同僚たちの中にチラホラ協力してくれるひとが出てきました。
もちろん協力してくれないままのひともいました。
そしてそういうひとは最後まで協力してくれませんでした。
でも,僕が怖がっていた,ひとりぼっちになってしまうかも,ということにはなりませんでした。
それどころか,思ったよりもたくさんのひとが協力してくれました。
あるひとは協力だけでなく,自ら,積極的に同じ目的をもった別のアプローチを始めてくれました。
またあるひとは,僕がいなくなったあとでも,僕が立ち上げたプロジェクトを継続してくれました。
僕のやろうとしていることを冷めた目で見続けるひともいましたし,実際にバカにもされました。そんなに一生懸命やって何になるの?と半笑いで言われたことだってあります。
でも,その頃には僕の信念とか物事の考え方は,ものすごく柔軟になっていて,そういうことを言われることに対して「嫌だなぁ」とか「悲しいなぁ」とか感じると同時に,「このひとは何を伝えたいのだろうか」とか「そのひとの視点に立つとどんな意味があるのだろうか」とか,もう一段階マクロな視点で捉えることの方が多くなっていました。
すべての言動に意味があって,それはそのひとにとってはとても大切な言葉であることは少なくありません。
だからこういう言葉を「僕をただ傷つけたいというだけの言葉なんだろう」と結論することは,ほとんどないです。
そういう思考は,僕にとってとても大切な改善のきっかけであったり,材料になったりするのです。
しかしまぁ,嫌だなとか悲しいなとかいうことを感じなくなるってことは多分無いと思います。
嫌われて嬉しい!勉強になってラッキー!と感じることはなかなかないです。嫌悪感をあらわにされたり,陰口されているのを人づてで聞いて「いやーあんなヤツに嫌われてもなんとも思わねぇぜ,ガハハハ」ってことにはならなくて,やっぱり悲しいし,寂しいし,辛いなーと思うことはありますが,だから僕は僕の行動をそれにあわせて決めるということはありません。
それをすれば,なにより「自分が自分のことを嫌いになってしまう」からです。
嫌われても良いとか,嫌われる勇気とかいうのは,行動基軸を自分の中の大切なものとし,自由選択においてその基軸でもって決定する。その結果嫌われるとすればそれは仕方がないということです。
仕方が無いというのは,都合があわない以上,それを調整する努力を一生懸命やりますし,Win-Winを目指して工夫はするけれど,最終的にどうしても折り合いがつかない,Win-Winの行動を取ることができないとするのなら,「no deal」今回は取引をしない,という選択肢もあるという当たり前のことを当たり前に行動にうつすということです。
それが当たり前でなくなってしまって,本当はこれは私にとっては信念に外れることだけれど,あのひとに嫌われたくないし,嫌だって言いにくいから…といって相手に合わせてしまう。
確かにそのほうが楽かもしれません。
自分で決めなくてもいいし,問題があれば,そのひとのせいにしてしまえばいいのですから。
私がやりたくてやったんじゃないし。
本当はこんなの好きじゃないから。
かっこ悪いのも,うまくいかないのも,全部ひとのせいにしてしまえば,いいのです。
けれど,それをずっと見てるひとがいます。
他ならぬアナタ自身です。
アナタ自身があなたを見て,あなたはそれをどう感じるでしょうか。
そんな人生をあなたはどんなふうに思っているのでしょうか。
だいいち,アナタのことを本当に好きな相手が,あなたが楽しくないことを無理させてまでやりたいと思うと思いますか?
あなたが無理をする。
あなたの大切なひとがそれを察して,楽しい幸せなんて思いますか。
あなたを大切に思ってくれないひとなら,楽しいと思うかもしれませんが,それこそあなたが無理をしてそのひとに合わせる意味はありますか?
だったらそのひともアナタではない別の誰かといっしょにいた方がよいのではないですか?
結果として両者がマイナス効果をもってしまう Lose-Lose の関係性になってしまうのは誰にとっても良いことはないのです。
相手の意見をしっかりと聞き取って,そのうえで自分の意見を伝える。結果,よりよい意見にたどり着けばそれが一番良いし,そうでなければちょうど良い着地点を探すこともありえます。
しかし,いずれかが一方的に疲弊するような結論を受け入れるのは,自分を大切にしていないことになります。
自分の意見を言ってもいい。
こんなことは本当は当たり前なのです。
嫌われるとか嫌われないとか,そういう結果が出ることも当たり前のことです。
こういう当たり前の自由を僕らは手放してはいけないのです。
前置き長くなっちゃったな。
どうしたら他者評価でなく,自分軸を行動基準として持てるか。
ここまで読んでくださったみなさんのために,具体論までちゃんと書きます。
ホントなら
詳しくはWEBで!
詳しくは有料動画で!
のパターンですが,今日はちゃんと書きましょう!
さて,ではどうしたら他人の評価でなく,自分の価値観や人生の原則に従って自分を認めてあげられるようになるかという話を最後に少し。
まずはこれまでの自分をねぎらってあげて下さい。
A4用紙を準備して,横向きにセットします。
右上に今日の日付を書いて下さい。
左上には,「これまでの自分」と書いて下さい。
「これまでの自分」にアンダーラインを引いて,タイトル感を出しましょう!
そして,その下に箇条書きで,これまで他者評価で行動したなと思うことをできるだけたくさん書いて下さい。
満足するまで書いてあげてください。
5分ぐらいあったら足りますか。
できあがったら,声に出して読んでみてください。
そして,がんばって他人の評価にあわせてきた自分を褒めてあげましょう。
よく頑張ったね!って言ってあげて下さい。
いやー私,マジでがんばったわ。
って感嘆してもOKです。とにかく声に出して褒めてあげてください。
ナイスファイト!って。
次に私は変わります(と誓って下さい)。
怪しい宗教みたいになってきたーと思ったひと,そんなに外れてませんが,ひとの感情は外に出さない限り体の中で渦巻いて浄化されないものですよ。
こんなことしなくても気持ちの切り替えができることもありますし,切り替えができてしまうひともいます。
できないひとは,とにかく書き出す。
これに尽きます。
書き出すというアウトプット方法はビジネススキルとしてもたいへん重宝すべきものです。
仕事できる人はたぶんこの話,うんうんと大きくうなずいてくれるヤツです。
僕は思ったこと,考えたこと,整理したいこと,なんでもかんでもA4のコピー用紙にどんどん書きます。図式化します。絵を描きます(これやるとパワポつくるスキルも上がりますよ)。
余談ですが,メモとかノートに日々の想いを綴るとき,「書きづらいこと」や「書きづらいひとの名前」があることに気が付きます。こういったことはそのひとの中でまだ処理ができていないことや,あるいはとても強い想いを含んでいることや人だったりすることが多いので,そういう言葉に出会ったら思い切って,勇気を持ってしっかりと書いてみて下さい。そしてそのこと(や人)に想いを馳せてみましょう。自分でも気が付かなかった感情に気が付くかもしれませんよ。
今度は,自分の中の評価軸,行動基軸とするべき行動目標を書き出してください。
新しいA4用紙を用意して横向きに置きます。
右上には日付。
左上には「ジブン軸」と書いてアンダーライン。
ちなみにこの書き出しの体裁は,かの『0秒思考』で著者である赤羽雄二さんがオススメしているものです。ぜひ真似してください。
そして,箇条書きで書き出しましょう。
多くても10個以内。
5つあれば十分。
自信がないひとは3つでOKです。
最低ひとつからスタートできます。
たくさん書き過ぎてもたぶんうまくいきません。
そして,声に出して読む!
自信をもって,ゆっくりと,心に誓うように読むのです。
いいですか。
人間ってそんなに強くないです。
強いこともあるけど,こういう習慣を変えるということには強くありません。
習慣の変容が難しいというメカニズムは脳科学的にも説明されているとおり本当に簡単ではありません。
だから,いろいろと心と体に印象づけて,何が何でも私は変わるのだ!と願い,誓うのです。
48歳のオッサンがこういうのしょっちゅうやってるんだから,まだ若いみなさんなら楽勝ですよ。
実際に,書いたり,声に出したりする,僕はさらに壁に張り出して毎日見るとか,毎日お風呂で声に出すとか,内省をひたすら繰り返しています。
そうすることで僕は僕に言い聞かせる。
そうしなければこれまでの習慣には勝てないのです。
そうして決めたことをあとは実行するのみです。
結果が出るか出ないかは,結局のところ行動するかしないかです。
行動すれば何かが変わるのは当たり前のことです。
(望んだとおりの結果が出るのかそうでないのかはわかりませんが,何かがどこかで変化を起こすのです。過程の一部が変わったのに,これまでとまるきり同じ結果なんてことは原則に反します。)
こういう当たり前のことを「人生の原則」と言っていますが,人生の原則に従って結果は出ます。
良い結果か悪い結果かは,決めた行動指針によりますが,良くも悪くもひとはこの人生の原則から逃れることはできません。
行動すれば何かが変わる,という原則を知っていても知らなくても,この結果から誰も逃れられません。
だからこそ行動するのです。
最初の行動。
勇気が要ります。
ものすごい勇気です。
しかも勇気を振り絞って一度だけ行動したとしても,だからそれで良い結果が出るとは限りません。いえ,たぶん出ません。
でもジブンで決めたこと,信じた道,なら思う結果が出ることを信じて継続することです。
継続することは本当に難しい。
でもやるんですよ。
他人の書いた脚本にしたがって演じる人生なんて,ジブンの人生じゃあありません。それで死ぬ前にアタシの人生ってなんだったんだろうかと嘆いても遅いのです。
それで「あのひとは才能があっていいな」とか「私は損ばかり」とか,言ってるだけの人生が本当にツマラナイと思うのなら,変えるしかない。変えましょう。
継続し,改善を続けます。
勇気を振り絞って。
三日坊主の原則というのもあります。
たいていの試みは三日坊主で終わります。なんの成果も出ずに。
一日休んだら,また始めれば良いんですよ。
三日坊主を何度も繰り返せば,そのうちそれが習慣となります。
見方が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人生が変わる。
物事の見方,考え方が変わったあなたなら,きっと行動を変えられる。行動を変えられれば,習慣を変えることも出来ます。
そうしたら自ずと人生も変わってくるのです!
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けっこう具体的に書きました。
でもそれでも,やっぱりひとりではなかなか難しいのです。
こういうのは。
だからフォローアップしてくれるコーチが必要なのだと思うわけです。
ただいまキャリデザイン事務所MR.ARTでは,「第一期メンタリング生」を募集しています。
継続的なフォローアップで,自分らしく生きるためのエンジンを手に入れる。まずは60分のご相談からはじめてみましょう。