7つの習慣セルフコーチング/良心と意志

『7つの習慣』で取り上げている人間特有の4つの能力。
自覚,想像,良心,意志。

今回は,良心と意志について少しお話ししたいと思います。

この4つの能力は主体性を発揮するために重要な能力です。第1の習慣である「主体的である」では,とりわけ刺激と反応の間に「スペース」をつくり,選択の自由をもって行動を決めましょうと述べられています。

主体的であるというのは,自分で考えて,自分で決めて,自分で責任をとることなのですが,これは必ずしも「自分の人生でしょ?だったらひとに決めてもらうんじゃなくて自分で決めなよ。そんで,自分自身で決めたんだから,ひとのせいにしないで自分で責任とりなよ。」というような自責の鎖で身を縛り付けましょうという趣旨ではありません

重要なのは「選択の自由」をもって選択するということです。

主体的に対して反応的であるということは,刺激に対して感情の赴くまま,選択の自由がなくプログラムに従って生きることになります。多くの場合,そのプログラムは積み上げてきた経験,これはつまり子どものころに両親から与えられた脚本であったり,後に所々自分の体験や思考によって加筆修正した脚本であったりするわけですが,その選択において,自由を手放し,反応的に行動するのではなく,パラダイムに縛られることなく,今ここにおいて,我々は常に最良の選択を選ぶことを赦してもらっている,認めてもらっているのだと考えたいところです

従って,主体的であろうとする,第1の習慣の副題であるPersonal Visionの原則に照らせば,第1の習慣は,強制的な「自分で考えて,責任をとりなさい」というものではなく,むしろもっと自由に選択していいんだよ,自分の人生なのだから自由に行動の枠を拡げてもいいんだよと言っているように僕は感じるのです。

そこで必要なのは前回お話ししたとおり「自覚」することがその第一歩であり,自由な選択において欠かせない要素なのが次にお話する「良心」なのだと考えています。

「良心」というのは,おそらく「善悪の判定」に用いるようなイメージだと思いますが,ここでは道徳的な「善悪」というよりは,自身の価値観や良い原則,あるいは所属するコミュニティやその場に関係するひとたちにとってポジティブな原則のことをとりわけ言っているのではないかと考えています。

最良の選択はひとによって異なりますが,しかし良心に従ってその選択を行うことが良い結果を生むために必要です。

そのためには良い原則を知り,原則に照らして判断することが大切なのです。

誰かに文句を言われたとき,反応的にならずに自由選択をしたとしても,果たしてそれが最良の選択であるかどうかは,原則や価値観によって選択するかどうかによるのですね。

「想像」の力は無限の選択肢を生んでくれます。
いくつもの選択の結果を,想像することもできます。
そしてその中から,良い原則に従って選択することで良い結果を導くことができるのです。

パラダイムに視野を狭められているとき,おそらく選択肢の数は少ないでしょう。僕らがそのとき選択できるそれは,基本的に自分のパラダイムによります。そうでなくてもすべての選択肢に,「今ここ」でたどり着けるはずはありませんから,パラダイムを自覚し,俯瞰することで選択肢は拡がりますが,そのときさらに「想像」により多くの選択肢をとりあげます。

もしかしたら原則を知ることでその原則を頼りに,思いもよらなかった選択肢へのアプローチができるかもしれません。

そしてその中から「良心」に従って,最良の選択を自由に選ぶ。

「意志」をもってその選択を実行する。

この4つの能力こそが,主体的であるための原動力なのです。