この春初めて後輩を持つ人のための1on1ショートコーチングスキル#3

後輩をはじめて持つひとには特に注意してもらいたいことがあります。

それは,先輩は後輩よりもエライわけではなくって,その組織と社会での経験値が若干多いぐらいなんだよってことです。

わかってますよ。
と言った先輩のうち,3人に2人はこのことをわかっていません。

先輩には頼まないようなことを,後輩には頼んでみたり,先輩にはかけないような褒め言葉を後輩にはかけてみたりするのはわかっていないからです。

もう少し具体に考えてみましょう。

1.後輩が持っていない知識を持っている私はエライ。

後輩が知らないことを先輩が知っているのは言ってみればとっても当たり前のことなのです。

初めての場所にいって,初めての仕事をするひとにとってはあらゆるものが初めてなのですから,最初は少し多めに気を遣ってあげるのが良い先輩だと思います。

2.後輩がオドオドしていても私は堂々とできるからスゴイ。

後輩がオドオドしているのは「場」への経験値が不足していて,場慣れしていないからです。

同じ場所や場面でオドオドし続けるひとがいないのは,誰でもそのうち慣れるということの証左です。

3.エライひとたちに顔が利く私はエライ。

上司や役員のひとたちに顔が利いて,たまにタメ口きけるアタシ。常連ぽい振る舞いができるアタシってスゴイと思うかもしれませんが,まぁ単にその場に長く居るだけです。

そのエライ上司たちも,会社から出てしまえばただのひとです。

顔が広いことを自慢にしたいひとは,自分に自信が持てず,そのひとたちの威を借りて自分がスゴイひとになったような気になっているだけです。

他にもたくさんありますが,いずれにしても先輩と後輩の関係は「役割」の関係です。

したがって先輩は後輩よりもエライわけでもなければ,後輩よりも能力があるということでもありません。

このことを絶対に忘れないようにしてください。

簡単にできるショートコーチング

さて,それでは今日は先輩が後輩にできるショートコーチングをひとつ紹介しましょう。

困っていそうに見える後輩へのショートコーチング
「どうしたの?何か困ってる?」

困った顔をして,手が止まっているように見える後輩への声掛けはシンプルに躊躇無くこの一言でいきましょう。

問題があれば,問題について話を聴きます。
問題がないと本人が言うのであれば,そこはいったん引いて下さい。

話を聴くコツは「相手の意図を理解することに努める」ことです。たとえ冒頭10秒で「何に問題があるのか」を見抜いたとしても,後輩が話したがっていることを話し終えて,しっかりとそれがわかるまでは先走ってはいけません。
最後まで話を聴いてあげてください。
日本語って語尾まで聴ききらなくては判断できないのです。

やってはいけないのはこれ。

・声を掛けるべきかどうか躊躇する。
・困っていることを察して先回りする。
・(本当は気になっているのに)放置。

大事なことは,「困っているかどうかは,聞いてみないとわからないこと。」です。先輩の勝手な判断は厳禁です。
そして優しすぎず,厳しすぎず,適度な距離感が大事です。

距離感の測り方は難しいのですが,場に慣れていないが故の「困った」についてはどんどんフォローしてもいいです。反対に判断力不足とか知識不足とか,業務上このままでは問題が生じることについては「自分でなんとかする」という基本スタイルを損ねないように少し距離をとるような対話を持つのがよいでしょう。

後輩はきっと自力でなんとかする!という信頼を置きましょう。

放置は最悪。
しかし過干渉するぐらいなら,過保護の方がずっとマシです。

過干渉,過保護になりがちなひとはぜひコーチングを学んでください。

「後輩の役に立っているとわかりやすく感じたい」という自分の気持ちに気が付いてください。

これを超えた真の先輩魂こそが,ショートコーチングの基礎になります。コーチングスキルはそのための礎になります。