僕がコーチングを始めた頃はまだコーチングスクールもそんなに群雄割拠してなくって,Google先生にたずねれば,2つ3つ大きな団体が出てくるぐらいでした。
今やコーチングという言葉はそこそこ市民権を得ていて,確実に時代が変わってきていることがうかがえます。
すなわち,X世代が得意とする上意下達の強権型マネジメントから,個性を大事に自身の内側から湧き出る動機からの成長を期待するコーチング型マネジメント,あるいはサーバントリーダーシップのようにマネジメントの在り方をまるっきり真逆にしてしまうような,とんでもなく大きな変化です。
このことはZ世代にとって必然であり,一方で我々のような昭和のマネジメントで育った世代にとっては,自分が受けた人材育成手法を否定し,新たな手法を受け入れなくてはならないというなかなかに高いハードルとなっています。
だからこそ,未だに組織では「24時間働けますか?」を合い言葉に遮二無二仕事をすることを美徳とするブラックマネジメントが横行する現実を残しているのではないでしょうか。
では,新たな世代にとって,上から教わるマネジメント手法,あるいは人材育成手法をどのようにしてコーチング型マネジメント,パートナーシップ型リーダーシップに変容させていけばいいのでしょうか。
できればソフトランディングが望ましいところです。
たとえば個々の関係,上司と部下の関係という組織的なものでなく,ひととひとの関係性において,まずコーチングを意識した指導をしてみてはいかがでしょうか。
ひととひとの関係。
それは先輩後輩の前に,ひとりの人間と人間の関係を指します。
コーチングに必要な関係性のひとつである「横の関係」を自然につくる関係性です。指導という言葉を用いればいつの間にか「縦の関係」になっているものです。先輩後輩や,部下と上司という関係であればなおさらです。
コーチングにおいて必要なマインドセット。
ひととして対等であること。それが「横の関係」です。
横の関係を意識することで,指導の対象である後輩たちの意見を尊重し,その存在に感謝することができます。その関係性を元にするから信頼が生まれ,互いの言葉にうなずくことができるわけです。
付き合いが面倒くさい,業務としての「指導」の関係では信頼関係が生まれにくいのはご想像のとおりです。
1on1コーチングでは,「横の関係」をまずは強く意識してください。
相互の信頼関係,信頼関係がなくては,本当の意味でコーチングが成立することはないでしょう。