中年をこじらせないための3つのコツ(お父さん向けテキスト)

中年をこじらせないための3つのコツ

ミッドライフクライシスを乗り越えるために

僕は,自身の長い中年の危機(ミッドライフクライシス)を乗り越えるためにキャリア心理学の教科書を何冊も紐解きました。そしてそこで見つけた中年をこじらせないための3つの秘訣。

せっかちなみなさんのために結論から書きましょう。

1.自分だけ若さをキープできているという妄想を捨てること
2.自分だけはまだ現役で通用するという妄想を捨てること
3.自分はまだ昔のままだという妄想を捨てること

総じて,言っていることはひとつです。
年齢相応のファッションや所作,あるいは考え方や振る舞いをしましょう,ということです。

気持ちを若く保つことは大事ですが,気持ちを若く保つことは決して若さを真似ることでも,若い人やものに自分を重ねることでもありません。もともと同じものにはなれないのですから,無理をして似せようとすればすぐにわかってしまいます。

では年齢相応とは何か。
年齢相応ってどんなことを指すのかをガイドラインで示してもらえればそれが一番いいのでしょうが,あいにくそのようなガイドラインはありません。なんでかって言うと,そりゃぁあなた,ひとそれぞれだからです。

ひとそれぞれなら「俺だけまだまだ現役で通用することもありえるんじゃないの?」と思ったでしょう。

そうです,ありえます。

ところが大事なのは「理論上はありえますが,あなたはそうではない」ということを肝に銘じることなのです。

そう。
言い換えれば,

「自分の!俺の!私の!僕の!
 人生のステージが変わったこと」を真に腹落ちさせることなのです。

たとえば身近なひとや有名人のなかで,年齢よりもずっと若々しく感じられるひといますよね。こういうひとたちを見て「カッコイイ!」と思うのはなぜでしょうか。

たとえばちょっと想像してみてください。
こういう方の振る舞いを思い浮かべたとき,そのひとたちが「背伸びしてる感」ありますか?

必要以上に若々しく見せようと無理してる感を感じてしまったら,きっとそこに真の若々しさはないでしょうし,カッコイイとも思わないでしょう。自身をいちばん魅力的にみせる立ち振る舞いや思考,あるいはこれまでの経験に照らして真に腑に落ちている考え方や在り方を実践することこそが年齢相応なのではないかと僕は考えています。

決して背伸びせず,できないことはできないと首を垂れ,無理することなく周囲と調和する。

年齢相応とは自分自身を偽らないことなのではないでしょうか。

かくいう僕も,40歳を前後して,自分の感覚と,自分の立ち位置にギャップを感じたり,自分が希望する他者との距離感が少しずつずれていることに気が付いて生きづらさを感じるようになりました。

と言っても,急に気が付いたわけではなくて,なんとなくそんな感じがしていたのが,時間をかけてだんだんと確信できるようになっていたというほうが近いと思います。

自分はまだ若い。
他の40代とは違う。
若い人たちとも交流できる。

そう考えていました。
ところが,自分の中の自分と実際の自分とのギャップ,在りたい自分と実際の自分とのギャップ,自覚していない,信じたくないのだけれど変化している自分自身とそれを取り巻く環境はその考えを肯定してくれませんでした。

このように,あるひとの役割や立ち位置は日々変化していて,特に30代後半から40代前半で大きく変化すると言われています。この急激な変化に対応できなくなってしまうことを総じて中年の危機(ミッドライフクライシス)と呼びます。
ミッドライフクライシスはどなたにでも訪れる可能性があるのです。


もうひとつ僕が感じたのは,たとえば上述にあるように「若い人たちとも交流できる」と考えた時,僕が感じる「交流」と,違う誰かが感じる「交流」は程度も内容も,深さも,広がりも,それぞれ異なることを忘れてはいけないのだということです。

誰しも役割の変化を避けて通ることはできません。
環境への適応を避けて通ろうとすると,自身を偽らなくてはならなくなります。無理をしなくてはならなくなります。そこにはきっと真のかっこよさは宿りませんよね。それこそが中年をこじらせていることに他ならないのですから。

年齢相応の振る舞いができればいいなと思う今日この頃なのです。