部下や後輩の指導に向いていないと思った人に知って欲しいこと。#6

さて,本格的に傾聴トレーニングに入っていきましょう。
しっかりと傾聴スキルをマスターしましょう。

傾聴は,僕が教えているコーチングの基礎スキルの一丁目一番地に置いています。

聴くというのは,なかなか学校でも職場でも教えてもらえない,しかしとても重要なスキルです。

聴く練習をしたことがあるひとはその難しさがよくわかると思いますが,実際,部下や後輩あるいは子どもたちの話,聴けているようで実はほとんど聴けていないという現実があります。

ある調査によれば,上司は部下の話を十分に聞けていると回答しているのに対し,ほとんどの部下は上司に話を聞いてもらえないと答えているのです。

このギャップはどこから生まれるのでしょうか。

傾聴では,「聴く」という漢字をあてます。

「聞く」よりもしっかりと「聴く」んでしょうね。
まぁ漢字なんてどうでもいいです。
相手の言葉と心をしっかりと理解するつもりで聴くということを意識して聴くことができて,それを続けることでいつの間にか「聴く」が自然にできるようになりますから,まずは「聴く」ことを無意識に行うのではなく,しっかりと意識して行うようにしてください。

自然に使えるようになると言っても普段使いできるかというと,なかなかそうはなりませんが,コーチングをするとか1on1するとか,そういうスイッチを入れるタイミングで自然に使えるようになれば十分です。

なにしろ「聴く」はエネルギーを使うことですから,普段使いするには時間も気持ちも相当に余裕がないと難しいかもしれません。

トレーニングをしてみよう

・「聴く」はいつもの「聞く」という動作とは違うことを意識します。
・無意識に行っている「聞く」とは違うのだと理解してください。
・つまり,意識的に「聴く」ことをするのだと考えてください。

#4で練習した次の3つはマストです。

  • 話を遮らない
  • 手を止めて,しっかりと体を向ける
  • 話を理解することに努める

#5で学んだ傾聴者の態度もマストですがこれは練習しながら覚えていきましょう。
基盤があってこそ技術習得ですが,技術を覚えて使っていくことで基盤を磨くこともできます。カタチから入るというアレです。

  • 無条件の肯定的関心
  • 共感的理解
  • 自己一致

内容を説明されてもイマイチピンとこないというのが本当のところだと思います。

念頭に置くのは,相手の気持ちを相手の内側から知ろうとすること,体感しようとすることで,かつ自分自身であることを忘れないことです。相手の考えや都合は相手にしか本来わからないものですが,だからこそ否定できるものではありませんし,それを理解しようと努めて耳を傾けることが大切です。

そのとき,自分の中の違和感や否定的な気持ちはいったん脇に置いておきますが,忘れてしまったり,なかったものとして扱う必要はありません。それらは大切な自分自身のことですから持っていても大丈夫です。

そのうえで,技術的なことに注力してみます。
まずはひとつだけ。

相づちやオウム返し(励まし,促し)

これらの技法を「励まし技法」などと言います。
話し手が気持ちよく話をすすめることを促し,話をすることにストレスがかからないようにしてあげることです。

私はあなたの話をしっかり聴いていますよ,という気持ちが話し手に安心感を与えます。技法の目的としては,そのしっかり聴いていますという気持ちのアピールということになりますね。

しかし普段から相づちやオウム返しは意識せずともある程度していると思います。そのとき,アピールしているというつもりはないと思いますから,その延長と考えてもらった方がいいかもしれません。

傾聴の技術は,意識的,意図的なものですから,これはしっかりと意識して頷いたり,オウム返ししたりして欲しいところですが,これをあまりに意識しすぎるとアピールが強すぎて,話し手にとっては違和感しかありません。

そうなるぐらいなら自然な相づちやオウム返しがよいでしょう。

たいして感心もしていないのに,やたら深い「へぇ~」と言ってみたり,わかってもいないのに「あぁ,なるほど」なんて言えば,相手には伝わります。

バリエーション

相づちやオウム返しをするだけでも,バリエーションはたくさんあります。

ええ。ええ?ええっ!
はい。はい?はい!
なるほど。なるほどぉ。なるほどうーん。
それで?それからどうされたんですか?
そうなんですね。

イントネーションとか雰囲気とか,仕草とか,もう本当に無限のバリエーションがあると思います。これだけで対話を終わらせることができるのが最高のカウンセリングだという先生もいらっしゃるぐらいですが,僕らがやろうとしているのはカウンセリングではなくて,コーチングなので,最終的にはこの技術を目標達成に導くためのプロセスとして活用できなくてはなりませんから,これだけで対話を終えることはできません。

バリエーションは多いほど良いというわけではありませんが,使い分けることできれば対話に厚みがでます。

相づちだけで,相手の話への興味やもっと聴かせて欲しいという気持ちを伝えることができます。

普段,これ以上話を聞きたくないというときに,相づちとかオウム返しのようなことをあんまりしなくなるなんてことはないでしょうか。

その反対をすればいいってことですね。

その目的は,もちろん話し手にできるだけたくさんの気持ちを言語化してもらうことです。コーチングにおいては,例えば行き詰まっている現状を打破するような気付きをもたらすかもしれませんし,やり尽くしたと思っていたことが言葉にすることで,そういえばまだやっていないことがあったな,なんて気付きにつながるかもしれません。

普段あまり考えていないことを考えてもらい,言葉にしてもらうだけで,ずいぶんと視野は広がるのです。

視野の広がりを意識して,言語化をどんどんうながしましょう。

オウム返し

オウム返しはどのワードを返すのかによって,展開は驚くほど変わって来ます。オウム返しがうまくいかない場合,対話がすぐに行き詰まってしまうようなときは,繰り返しているワードのチョイスが誤っているかもしれません。

基本的には最後の言葉をそのまま返すものですが,ビッグワードや感情に焦点をあてて,返してやると展開が拡がりやすいので,抽象性の高い言葉でそのひとの価値観を示しているような言葉や,そのときどんな気持ちだったのかを示している言葉を聞き逃さないように注意深く聴くといいですね。

たとえばこんな感じ。
この二つでは,この先の展開がかわってきそうな気がしませんか?

「やりがいがなさ過ぎて,ホントに課長との仕事はおもしろくないんですよ。」
→A:「おもしろくないんですね。」(課長の愚痴の話がきけそう)
→B:「やりがい,ないんですね。」(やりがいの話がきけそう)

「やりがい」のように抽象性が高くて,ひとによってその中身が様々なワードは深掘りしてみると,そのひとの大事な部分に触れられるかもしれませんね。

さらにもしも余裕があれば以下についても意識してみてください。

1.言葉のひとつひとつを意識して受け止める
2.疑問や違和感を感じた言葉はストック
3.行間にある気持ちをストック

大切な言葉は,頭のどこかにストックしておいてください。
その言葉をどのように解釈しているのか,どのような意味で使ったのか,自分は何に違和感を覚えたのか,言葉と身振り素振りがあっていたか,などなどじっくり観察しながら聴けるといいですね。
(しかしいずれにしても,一生懸命に相手の話を理解しようと努めて,聴くに集中することが最優先です。)

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